「過保護なサブ4.5練習計画」を立て、自分自身に「半年後、絶対にフルマラソンを完走する」とコミットした私。
しかし、人間とは弱い生き物だ。一人で静かに誓った目標なんて、仕事の忙しさや天気の悪さを理由に、簡単にうやむやになってしまう危険をはらんでいる。
そこで私は決めた。 「周囲を巻き込んで、絶対に逃げられない環境(退路を断つ)を作ろう」と。
今回は、周囲を巻き込んだ結果として、ファンランでハマった罠とそれに伴うソロランの悟り、そして試行錯誤の末にたどり着いたランニングスタイルについてお届けする。
1. 宣言と道連れ。周囲を巻き込んでフルマラソンへ!
まずは会社やプライベートの知人に「半年後のフルマラソンに挑戦する」と公言しまくった。
さらに、ただ宣言するだけでなく「一緒に走ろうよ!絶対に人生変わると思うんよ!」と熱弁を振るい、周りをガンガン勧誘。断られた友達の「いや、フルは無理だって…」という冷ややかなリアクションにもめげず押し続けた結果……
なんと、3人もの同世代の知人をフルマラソンにエントリーさせることに成功した!「フルマラソン、みんなで走れば怖くない」という気持ちになってくる。(道連れにしてごめん、でも一緒に頑張ろう)
また、モチベーション維持のために「Nike Run Club(NRC)」アプリを導入。まだ繋がっている人数は少ないが、お互いのラン記録をアプリ上で確認し、離れた場所でも「お、今日走ってるな」と称え合い、かつプレッシャーを感じられる環境を作った。
これで準備は万全。もう逃げられない。
2. アスリート友達と走って撃沈……「ソロラン」の悟り
周囲を巻き込んだことによる功罪もある。
ある日、家族ぐるみで付き合いのある家族が泊まりに来てくれた。パパ友から「最近ランにはまってるようだし、せっかくだから一緒に走ろう!」と自発的にシューズ&ウェアを持参してきてくれた。
誰かと一緒に自発的にランニングをするなんてスポーツマンっぽい営みは人生で初めてかもしれない。。俗に言う「ファンラン」というやつだ。
……が、この経験が大きな気づきを与えてくれた。
前夜はしっかり酒を飲み、よく語った。日中は暑くなることも考慮し、もし明朝6-7時の間に起きられたら走りに行きましょうと声をかけ合い、それぞれ家族と共に就寝した。そして翌朝…
私は5時台に起床した。走ることが楽しみでよく寝れていない。
水を口に含み、着替えを済ませ、2階を見上げたが、誰も起きてくる気配はない。まだ日も昇っていないし、さすがに6時前に起こすのは非常識だ。しばらくハンソンズメソッドを読んで時間をつぶした。(ハンソンズメソッドについては8歩目を参照)
6時15分になった。まだ6-7時の1時間枠の中の前半だ。やる気ありすぎると思われて、恥ずかしい思いをしそうなので更にハンソンズメソッドを読み進めた。
そして6時半。「もういいでしょ、十分待ったよね!」という気持ちで2階の部屋のドアをゆっくーりと開けた。
『キィィ……』
その音でパパ友は目覚めた。今にも走りだしそうなランニングウェアの私を見て、戸惑いの表情を浮かべつつも「あ、そうか」とつぶやき、起き上がった。若干、苦笑いしているようにも見えた。
そこから15分程度で身支度を整え、私はゲルカヤノを、そのパパ友はナイキのペガサスを履いて外に出た。
走り始めてすぐに大きな壁にぶち当たった。その理由というのは、実はそのパパ友、ガチガチのアスリート系お父さんだからだ。日頃から筋トレをたしなみ、野球・ソフトボールを愛し、そして今年の1月にはフルマラソンも完走している先輩だ。
いざ走り始めると、そのパパ友のペースが速い速い。私の「心拍ゾーン2を守る過保護なランニング」というランの目標は、一瞬でどこかへ吹き飛んだ。
息は上がり、足はパンパン。私は常に後ろにいて、必死に食らいついてゆく。
心の声: (やばい、速すぎる……ごめん、もう少しゆっくり走って!……)
しかし、ここで私のくだらない「プライド」が顔を覗かせる。 「え、もうバテてるの?」と思われたくない一心で、平気な顔を装いながら爆走。
途中でもバテてないアピールのために、「あ、あそこに野ウサギがいますね」とか無用な会話を切り出し、「これは俺にとっては笑顔でおしゃべりできるペースですよ」アピールに必死だった。
そして過去イチレベルでゼェゼェ言いながら走り終えた。走り終わって手元のガーミンを見ると、今日のペースは約7分/kmのペース。(9分/kmくらいで走るのが理想)
「フルマラソンってこれくらいのペースですか?」と聞くと、「いや、これよりちょっと早い感じ」と余裕の表情で言っていた。 やはりマラソンへの道は長く険しい。。。
だが、私はこの苦い経験から、重要な悟りを開いた。
「今の私には、一人で自分のペースを守る『ソロラン』が圧倒的に合っている。友達と走っては膝が逝く可能性がある」
友達の存在はモチベーションとして最高だが、走る瞬間だけは自分の過保護なペース(心拍ゾーン2)を死守しなければ、私のポンコツな膝が壊れてしまうのだ。
自分より運動できない初心者ならよいが、そんな人を見つけることはあまり期待できない。つまり、私にファンランはまだ早い、ということだ。
なお、そのパパ友は走り終えた直後、さわやかな笑顔でこう言い残していった。
「ちょっと何本かダッシュしてから戻りまーす!」
シャワーの時間をずらす為の気遣いなのは分かっているが、そこでダッシュするか普通?
3. 一人でも一人じゃない、Geminiとのラン
ソロランとなると、今度は「一人で走るのは暇」という問題にぶつかる。
ランをきっかけにSpotifyを利用するようになった。誰もが推奨するBPM(テンポ)別のプレイリストを試し、確かにケイデンス維持に役立った。
だが音楽によって微妙にテンポが異なったり、そもそも音楽に熱を入れていない私には、正味な話、やっぱりちょっと退屈だった。
そこで思いついたのが、「おしゃべりできるジョグペースの維持」と「英語のスキルアップ」を両立させる天才的発想である。
スマホのAIアシスタント「Gemini」に声をかけ、ランニング中に音声で英作文クイズを出してもらうことにした。
俺: 「Gemini、英作文クイズを出して。まずは日本語の文章を言って。それを俺が英語に訳して回答するからフィードバックちょうだい。」
Gemini: 「わかりました!問題です。次の文章を翻訳してください。『私は半年後のフルマラソン完走のために毎週3回ランニングをします』」
俺: (うおっ……!めっちゃ俺の状況意識して問題出してくるやん……!)
AIの進化に感動したのも束の間。ここからGeminiの様子がおかしくなる。
俺: 「I run three times a week to finish a full marathon in half a year.」
Gemini: 「That’s a perfect translation! Let’s move on to the next sentence. Please translate: I run 5 miles at the park every weekend.」
俺: 「……いや、趣旨分かってる? なんで英語で出題し始めてんの?」
Gemini: 「大変申し訳ありませんでした。そうでした、日本語で出題します!」
私の英語に反応して、Geminiが英語モードに切り替わってしまい、英語で問題(というか答え)を出してくるGemini。 何度「日本語で」とお願いしても、次の問題でまた英語に戻ってしまうコントのような展開に……。
しまいには、Geminiが英語で話し始めた瞬間に「あのさぁ……」と言っただけで、Geminiが「申し訳ありません!!」と即座に平謝りしてくる謎の天丼が構築された。
このやり取りに夢中になっていたら、知らぬ間に重大な問題が発覚していた。
- 走っている時に脳みそを使うと、ラン以外に余計なエネルギーを使い疲れてしまう
- Geminiとの会話に夢中になりすぎて、ピッチ(ケイデンス)が160近くまで激落ちしていた
天才的だと思った英作文ランは、見事に撃沈に終わった。
4. たどり着いた最適解:「ポッドキャスト × メトロノーム」
「走っている時は、頭を使わない聞き流し系が一番だ」と痛感した私は、以前から気になっていた『コテンラジオ』をSpotifyで聴き始めた。
歴史の出来事や偉人たちを軽快かつコミカルに茶化しながら解説してくれるトークが絶妙で、走りながらでもクスッと笑えて退屈しない。
しかし、もう一つの課題である「ピッチの維持」はどうするか?
ここで嬉しい発見があった。 スマホでメトロノームアプリを起動すると、なんとSpotifyの音源と同時にバックグラウンドで音を鳴らせることが分かったのだ!
こうして、私のランニングスタイルは完成した。
耳元でゆるーい歴史の雑学(コテンラジオ)を聴きながら、裏で「ピッ・ピッ・ピッ・ピッ」とメトロノームのBPM音を鳴らしてピッチを刻む。
客観的に見るとめちゃくちゃオタッキーな絵面だが、これが驚くほど快適! 頭は歴史のストーリーで楽しく満たされ、足元はメトロノームのリズムに合わせて自動的に過保護なペースを刻んでくれる。
まとめ:我が道を行くランニングスタイルの確立
周囲を巻き込んで退路を断ち、走る時はプライドを捨ててソロで「コテンラジオ×メトロノーム」に没頭する。
試行錯誤を繰り返したが、ようやく自分にとって一番心地よく、確実に継続できるランニングの形が見えてきた。
環境とモチベーションの準備は整った。 ……が、ここで一つ、新たな問題が浮上する。
「……ところで、走る時のスマホって、どうやって持てばいいの?」
ポケットに入れると揺れるし濡れる。安物ポーチを買ったら腰痛が勃発。 次回、スマホ携帯問題から始まる「ギアの沼」へ突入します!



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